上部・下部内視鏡検査
近年、増えつづけている消化器癌に対して、小さな病変を限られた時間の中で発見することを目標とし、本院では、通常内視鏡検査として、一瞬にNBI拡大観察が可能なハイビジョン電子内視鏡システムを配置しました。
【早期食道がん】
通常観察
NBI観察
内視鏡的粘膜下層剥離術後
切除標本(約6×4cm)
検査について
スクリーニング検査では、鎮静剤や経鼻内視鏡を使用し、苦痛のより少ない検査を目指しています。従来用いていた色素内視鏡に加え、一瞬で粘膜表面の拡大観察が可能なスコープを使用し、早期癌の発見に努め、腺腫性病変や早期癌に対しては、内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD)を行なってまいります。また大腸腺腫性病変に対しては、色素、拡大内視鏡で診断を行い、検査中にポリープが見つかればポリペクトミー、EMRを施行してポリープ切除を行ないます。
【早期胃がん】
腫瘍径約6cm
内視鏡的粘膜下層剥離術施行中
内視鏡的粘膜下層剥離術後
【早期大腸がん】
切除標本(約7×6cm)
内視鏡的粘膜下層剥離術後
切除標本(約6×5cm)
上部内視鏡止血については、高周波凝固装置(VIO300D)、CO2送気システムを用い、迅速かつ安全な止血を心掛けていきます。また下部消化管止血についてはクリップ止血に加え、Band ligation(EBL)を応用し、できるだけ一次止血を試みます。上部消化管閉塞には、狭窄部バルーン拡張に加え、金属ステント留置による緩和治療もおこない、大腸閉塞に対しては緊急外科手術を回避すべく、近年保険適応となったステント留置を行える準備を整えています。
胆道・膵臓について
胆・膵系では、CO2送気システムを用い、閉塞性黄疸や総胆管結石、化膿性胆管炎などに対し、内視鏡下胆道ドレナージや、胆管ステント留置を行い、安全な内視鏡検査を心掛けています。
【ERCP】
ERCP:胆管カニュレーション
総胆管結石
結石を内視鏡にて載石した
おわりに
内視鏡室では、日本消化器内視鏡学会ガイドラインを遵守したスコープの洗浄・消毒履歴管理を行なう事により安全なスコープを使用しての検査・治療を行なっています。処置具に関しても同上のガイドラインを遵守し、安全な検査治療が行なえるようにしています。